さぁ、オレと恋をしてみようか
ほら、結果オレが睨まれるのに。


「わたしも、大っ嫌い」


えっ、お母さんまで…!?


「わたしだって、芽衣子のこと大好きよ。愛しい愛しい我が子。だけど、賢太くんが好きだから、愛したから、芽衣子が生まれたのに。今の賢太くんは、わたしのことなんか、どうでもいい感じに聞こえる」
「そんなこと、」
「今の賢太くんは、芽衣子しか見てないじゃないっ」


あ、いいな。こういうの。いくつになっても、恋愛してるって感じで。すげぇ、うらやましい。


「わ、かった……」


え。今〝わかった〟って言った!?


「おい」
「あ、はいっ」


お父さんが鋭い目つきでオレを見た。


「次、芽衣子を泣かせたら許さないからな」
「それは、ご心配なく。たっぷり愛しますんで」
「なっ……」
「それとも、不安でしたら今、キスしましょうか?お父さんが安心するためにも」
「う、うるさい!!二度と、オレの前に姿見せんな!」
「でも結婚したら、そうはいかなくなりますけど」
「けっ……」


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