暁天の星
「でも、あの根性焼きは、きっと友達とかじゃないと思うな…。すごい数だったよ。」
那月の身体に印された痕は、片手で収まるほどの数ではなかった。
何か怯えたような警戒心の強いあの目は、那月の過去の経験と恐怖を彷彿とさせた。
「明に聞かなきゃわかんねえか。」
「そうだね。」
「「リュウ〜〜!仕上げ!!」」
静かなリビングに騒がしさが戻った。
チビ2人がそれぞれピンクと青の歯ブラシを突きつけてくる。
笑ってそれを受け取り、里香と分担して歯磨きを終わらせた。
「あたし、ヒナ見てくるから。ソウタとスミレよろしくね。」
里香は俺にそれだけ言って、2階へと消える。
「ねえ、リュウ。」
「ん?」
「ヒナ、まだ熱下がらないの?」
「そうだな〜、まだバイキンと戦ってるからな。もうちょっとかかるかも。」
「早く一緒に遊びたいね。」
ニコッと笑うスミレの頭を撫でたとき、那月の照れた顔を思い出した。