いつかウェディングベル

加奈子の手を引き岩作りの風呂の中へと入った。


露天風呂だからか少し温めだが心地よい。


湯に浸かると加奈子を引き寄せ抱き締めてキスした。


こんなにゆったりとした落ち着いた気持ちになったのは何時振りだろうか?


柔らかくて気持ちいい感覚に陥ったのは何時の事だったろうか?


ぷっくりと膨れる加奈子の唇が愛しくて離れられない。


「甘い」


久しぶりに味わったよキスが甘いなんて。


「柔らかいな。」


「もっとキスしたい?」


「当たり前だろ?」



加奈子は芳樹の兄弟が欲しいとは言わなかった。


俺と結婚しこれからの人生を一緒に共にすると誓ってくれたのだから、俺と夫婦になることを選んでくれたのだから、子どものことも考えていいはずだ。


まだ、芳樹一人で十分と思っているのか、それとも、仕事が影響しているのか。



もし、仕事が影響しているのであれば加奈子は仕事から手を引かせたい。


今すぐは無理でももうすぐ完了する企画が終わり次第販促課から他の部署へ異動させる。


現場で楽しそうに仕事をしている加奈子に辞令が出れば、きっと俺の仕業だとすぐにバレてしまうだろう。


その時に加奈子の鬼にも勝るあの剣幕をまた見ることが出来るのだろうか?


それに、今度はコーヒーをかけられるだけでは済みそうにない気がする。


その前にさっさと子供でも作った方が良さそうな気がするが、家族計画はとても大事なもので安直に決めるものでもない。



「ねえ、何考えてるの?」



さっきから黙り込んでただキスを交わしているだけの俺達。


加奈子はせっかくの新婚旅行だから何かやりたい事でもあったのだろうか?



「加奈子の事ばかり考えていた。」


「嘘ばっかり。」


「本当だって。」



嘘じゃないよ。俺はいつだって加奈子に振り回されてばかりだよ。


加奈子と出会ってからというもの俺の心には他の誰も住みつく事なんて出来ないんだ。

< 221 / 369 >

この作品をシェア

pagetop