いつかウェディングベル
このまま芳樹の兄弟を作ってやりたいところだが、一応加奈子の確認を取った方が後々面倒にならずに済みそうだ。
「なあ、芳樹に弟か妹を作ってやりたくないか?」
「あのね、今はそれどころじゃないでしょ? 今の状態を理解してる?」
加奈子にとっては家族より仕事が一番大事なのだろうか?
それほどに今の企画が大事なのか?
俺はそんな答えは聞きたくない。
「お母さん一人でお父さんに付き添っているのよ。それを考えるとまだ二人目なんてそんな余裕はないわ。」
「お義父さんは日にちが薬で直ぐに快方に向かうから心配は要らないよ。でも、気になるようなら加奈子も暫くはお義母さんの所にいるかい?」
「お父さんは時々会いに行くわ。企画の方も大詰めで最終確認まで来ているのよ。こんな風にのんびり旅行してる暇だって本当はないのに。」
どうやら、俺への不満解消の為の企画が最優先のようだ。
親父は企画が成功に終わることを予測し加奈子に課長の席を用意しているが、俺は商品管理部門から秘書課へ一旦は移らせる予定だ。
加奈子には専務夫人としての役割を与えるつもりだ。
課長なら、現場で皆と一緒に働けるが秘書課となると俺と一緒に働くことが多くなる。
そして、俺の妻としてお披露目する時がやって来る。
親父の跡継ぎとしてのお披露目と芳樹の存在が重要になる。
俺と加奈子の結婚は好いた惚れたの結婚だけではない。会社にとって後継者問題と言う世間からの信用にも関わってくるのだ。
今後の会社の発展には、俺の結婚と子どもを男子を儲けることが出来るのかにかかってくる。
加奈子と再会し俺は長年の婚約期間に終止符を打っている。得意先との縁談を破談にしたと言う過去がある。
その過去と既に俺には芳樹と言う子どもがいた事実とが、不安材料として今の俺に降りかかってきている。