いつかウェディングベル

「お帰り。今日は遅かったのね。」



加奈子の顔を見るとやはり俺はホッとする。


心が落ち着くし一日の疲れも吹き飛んでしまう。



「ただいま」



だから、俺は加奈子を抱きしめキスをしたくなる。


なのに、増田がいるとそれすらもできなくて俺はイラついてしまう。



「増田さん、後は私がしますから。ありがとう。」


「では、若奥様に坊っちゃんは任せた方が良さそうですね。お邪魔なようだし。」


「ああ、邪魔だ、邪魔。夜の新婚夫婦には十分邪魔だ。」


「はいはい、じゃ、後はお願いしますね。」



増田も加奈子も顔を見合わせてはクスクスと笑っていた。


まるで二人が示し合わせるかのように。


忌々しく感じると加奈子の腕を掴んで引き寄せ抱きしめてはキスをした。


柔らかい加奈子の唇がとても愛しくずっとこのまま触れていたい。


加奈子も俺のキスが欲しかったのか俺の後頭部へと手を廻し髪の中へと指を滑らした。


頭からも加奈子の指の熱を感じると俺はますます加奈子の唇も舌も欲しくなる。


俺と同じ気持ちなのか加奈子も少し開いた唇から舌を出した。


甘く痺れるキスに暫く酔いたい気分だが、段々激しく絡む舌にキスが止められなくなる。


ここで加奈子を抱いてしまいそうだ。


だけど、こんなところでは抱けない。


だから、キスを止めなければならないのに止められない。



「加奈子、ここじゃまずいよ、」


「誰もいないわ。大丈夫よ。」



加奈子のOKが出てしまうと俺を止めることは出来ない。


加奈子は俺の可愛い妻だ。


それに、ここは自宅だ。


妻が抱いて良いというのに止める男がどこにいる。


俺は加奈子のシャツの中に手を入れるとそのまま肌を漁るように触れていった。


まるで隠されたものを探しだすかのように探りを入れながら。


温かな肌に俺の手のひらが吸い付くようだ。


もう我慢できない俺は加奈子をダイニングテーブルへ座らせるとそのまま押し倒した。



「透、早くきて。」



恥じらいながらそんなことを言われると俺の理性は吹き飛び何も考えられなくなる。


加奈子を抱くこと以外は。

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