いつかウェディングベル

「お前が本気で手伝いたいと思うなら加奈子さんにそう言えばいい。」


「加奈子が俺の言うことを素直に聞くと思いますか?」


「無理だろうな」




やっぱり・・・・。親父でさえそう思っているんだ。きっと何を言っても今の加奈子には俺の言葉など伝わりはしない。


夫婦なのにこんなに寂しく感じるのは初めてだ。


販促課の時でさえ加奈子との時間が削られ寂しいと感じていたのに今はそれ以上だ。


会社で会えないのは当然にしても、帰宅しても家にいながら加奈子と顔を合わせることがないのは寂しすぎる。


まして同じ寝室で同じベッドで眠っているはずなのに、肝心の加奈子はそこにはいない。


いつも加奈子は俺が眠った後にベッドへと入る。


加奈子の温もりを感じることはできるがそれだけで触れることも会話をすることもない。



こんな生活をいつまでも続けていれば俺達の間に亀裂が入らないとも言えない。


結婚式は結婚しようとする二人を幸せにしてくれるものではないのか?


こんな風に苦痛を与えるものではないはずだ。



「今は加奈子さんをリラックスさせてストレスを溜めない様にお前が気をつけてやればいい。」


「俺にはそれしか出来ないってことですか?」


「そうじゃないだろうが、それが一番いいのかもしれんな。」



加奈子の意地っ張りには俺もかなり驚かされる。


でも、それも加奈子なのだと諦めるしかないのだろう。



「加奈子の今の生活が何時まで続くのか心配ですよ。」


「結婚式が終わればお前も安心できるだろう。」



本当にそうであればいい。俺はそう願うしかなかった。

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