いつかウェディングベル
美薗さんが日下さんへ抱く愛情と同じくらい、きっと日下さんも美薗さんへの愛情があるはずだ。
ただの独占欲や婚約者だからという立場だけで彼女へ向ける目がこれ程熱いものだとは思えない。
そう、俺が加奈子へ向ける想いと同じ様な感情をこの婚約者にも感じるんだ。
「実は、美薗さんは私の妻に聞きたいことがあるらしいんですよ。」
「あなたの奥様にですか? 美薗、何を聞いていたんだい?」
「え・・・それは」
美薗さんは俺の作り話にいきなり話を振られかなり困っている様子。そんな様子に日下さんは少し疑問を抱いているのだろうか。彼女を見つめる目がかなり嫉妬まみれのように感じる。
「美薗さんはあなたに話し難いでしょうね。」
「どういう意味なんですか?」
かなり俺の言葉に神経質になっているし俺と美薗さんの表情を逐一観察するように見つめている。
政略結婚ではあるけれど、美薗さんという人物に触れていくうちに心が惹かれたのかもしれない。美薗さんがそうだったように。
「私と妻の間には子どもが二人います。子ども達との生活がどんなものかを知りたかったようですよ。」
「ああ、あなたは奥様もお子様もいましたね。」
「それに今は3人目を妊娠していましてね。」
「それはおめでとうございます」
「有難うございます。そこで、先日も妻にそのことを美薗さんは真剣に聞いてました。これから結婚するにあたって妊娠・出産・子育ては付き物です。きっと、それらの生活が不安になったんでしょう。」
この言い方だと美薗さんがこの結婚に前向きであり婚約者との間に子どもを儲けることを考えていると思わせることが出来る。
こんな話の展開を美薗さんが望んだかどうかは分からないが、加奈子に言わせると女なら好きな男の子を産みたいと思うらしい。俺だって加奈子の子どもなら何人いても良いとさえ思う。
きっと美薗さんも日下さんもそんな気持ちを持っているはずだ。