彼女の疑問!
最後は俺の疑問!
彼女との待ち合わせで待つこと2時間。タバコが1箱無くなった。おなかもすいた。携帯繋がらず。メールの返事無し。今日こそ!今日こそは彼女にビシッと言ってやる!そう心に誓った時、走ってくる彼女が見えた。
「ごめ~ん!待った?突然宇宙人にさらわれそーになって!いろんなトコ逃げてたら遅れちゃった」言い訳ならもっとマシな嘘つけよ…と思いながら「嘘つけ!」と突っ込んどく。すると彼女「それ!前から気になってたんだけどさ、『嘘つけ』ってさ、命令?嘘をつきなさいってこと?おかしくない?だって今のタイミングなら普通『嘘つくな』って言うでしょ?」むぅ…確かに…。嘘をつくな、という意味を込めた上で、嘘をつけと言う。言葉が真反対だ。彼女は真剣に考え込んでいる。何か答えを出してやらないと、という気になってくる。「あのさ、ほら、あれじゃない?言葉ってどんどん省略されていくじゃんか。電話出るときの『もしもし』だって『申し上げる申し上げる』が省略されたものらしいし。だから『嘘つけ』ってのもさ、前部分に『どうせつくならもっとマシな』ってのが昔はあったんじゃないかな?」即興にしては我ながら上手いことを言った。彼女は少し考えてから「それだね!絶対それだよ!君はすごいなぁ~!私の疑問にいつも答えてくれる。素敵!大好き!」これが彼女のいつものパターンなんだが、毎回それに流される俺も俺か…。だってあんなにキラキラと目を輝かせて誉めてくれるんだから、もう怒りなんて無くなっちゃうよな。「さて、俺はらへりMAXなんだけど飯行く前に銀行寄るわ。手持ち無かった」すると彼女、ちょっと不機嫌そうに「なんで私が来る前に行っとかなかったの?」いや、そんなこと言われても…ここに来てから気付いたし…「お前がいつ来るかわかんなかったからさぁ…」「だったらメールでもしてくれとけば入れ違いにもならないじゃない」確かにそうだ。「ごめん、気が付かなかったよ」俺が素直に謝ると彼女はにっこり微笑んで「肝心なところで抜けてるんだから。ふふふ♪」…なんか理不尽な気もするがこの笑顔には勝てない。すっかり彼女のペースにハマり、イライラも無くなった俺は彼女を連れて銀行へ。
< 1 / 3 >

この作品をシェア

pagetop