みんなの冷蔵庫(仮)1
ずっと何も言わなかったシグマが、穴を埋め立て終わった頃に口を開いた。


「くららちゃんにこれあげる」


シグマがズボンのポケットから出したのは、何度かシグマの部屋で見た記念硬貨だった。
シグマは金ぴかに光るそれを一番大事にしていた。
確かお父さんからのプレゼントだったはずだ。


「いいよ。シグマが一番大事なもんじゃん」


私はこの時また泣きそうになっていたってのに、シグマときたら、とびっきりの笑顔で、硬貨を握りしめた手を突き出した。


「くららちゃんに大事な物あげたくなったから、今日これ持ってきたんだ」


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