みんなの冷蔵庫(仮)1
すぐに疑いが晴れたのなら、よかった。


「ほら、俺も父親消えちゃったでしょ? だから、キョンキョンのお父さんは見つかるといいなって思って」


シグマが笑顔で言う。

でも、私はあの日見たシグマに抱き着いたおばさんの背中を思い出し、胸が詰まった。


京極もおばさんと同じような気持ちになったのだろうかと思うと、思わず鼻の奥がツンとした。


「さっきも話したがシグマは光が出るだけで、何かを消したり、また、出したりはできなかった。そこで光イコール超能力ではない事が分かった」


私達は黙って京極の話を聞く。

昔から超能力だとか、自分に特殊な力があればいいのにと、願った事がなかった訳ではない。

遅刻しそうになったり、難しいテストの問題を前にしたりと、日常の些細な事でも超能力でなんとかしたいと思ったりもした。
でも、自分があの時持ったこの特殊な光は、そういった種類とは違う、何か良くない物だと封印した。

あれから一度も光を出そうとしなかった事により、そんな力はとっくに消失しただろう、という気さえしていたし、いつの間にか、光の事すら記憶の隅に追いやる事に成功していた。


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