みんなの冷蔵庫(仮)1
「僕らは一度リセットして、また一から考えをまとめてみた」


京極は私の動揺には気付かず、淡々と話し続ける。

私は絶対泣くもんかと奥歯を噛んで、膝の上の両手で握りこぶしを作る。
人前では泣きたくない。

私はいつの頃からか泣く事を堪えるようになっていた。

もしかしたら、シグマがいなくなってからかもしれない。

今までいつも一緒にいた、弟のような存在が急にいなくなり、一人になる。
それは小学生の自分にとってはとても大きな傷になった。

そして強くならなくては、と自分に言い聞かせた。


京極は続けて言った。


「佐田はいきなり廊下に飛んだのではなく、どこかに一度移動後、戻ってきた。テレポーテーションというより、一旦異世界に入れられ、また出された。そんな感じがしたと、そう言った」


喉の奥で、涙に変わろうとする感情をゴクリと飲み込む。

今は京極の話に意識を集中させなくては。


「そこでこう考える。犯人は佐田を「冷蔵庫」という仮定の空間の中に入れ、また、出す。それは犯人にとっては自由にできる事だ。犯人自身も冷蔵庫の中に入って、自分でその扉を開けて出てきた」




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