みんなの冷蔵庫(仮)1
喉の奥で、涙に変わろうとする感情をゴクリと飲み込む。

今は京極の話に意識を集中させなくては。


「そこでこう考える。犯人は佐田を「冷蔵庫」という仮定の空間の中に入れ、また、出す。それは犯人にとっては自由にできる事だ。犯人自身も冷蔵庫の中に入って、自分でその扉を開けて出てきた」


そこまで言うと、京極は上体をこちらに向けてねじり、穏やかな顔をした。


「くらら。君が消したと思ったテスト、あれも、くららが冷蔵庫の中に入れた、と考える」


私は京極の黒い瞳を見て頷いた。


「冷蔵庫の例えを出し、冷蔵庫を開けて中の物を出してくれと言ったら、イメージしやすかったのかシグマはすぐにくららのテストを出す事ができた」


後ろでシグマが
「でもそれまでが大変だった」
と呟いた。


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