みんなの冷蔵庫(仮)1
そして今、佐田さんが出て行ってしまう。

私はまた抱き着く事も、手を伸ばす事もできず、ただ玄関前に駆け寄り、すぐ側から佐田さんを見上げた。

佐田さんは気配を感じて振り返り、バターが溶けるみたいに一気にふんわり柔らかく顔をゆるませた。


「くららさん……あなた、かわいいですね」


突然言われた言葉の意味が分からずきょとんとすると、佐田さんは笑顔のまま、ため息を漏らした。


「無理もないです。いきなりあんな事……怖かったですよね」


そう言ってノブから手を離すと、体ごとこちらに向き直る。


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