みんなの冷蔵庫(仮)1
「い―や。じゃ、俺冷蔵庫の中から出してみるね」


そういうと、指先がみるみるピンク色になる。

シグマは両腕をテーブルに乗せ、そのまま両手の平をバスケットボールを持ったくらいの間隔に広げた。


パチパチと火花が散って、一、二秒もしたら、映りの悪いテレビみたいに湯呑みが一瞬ぶれて見え、そのすぐ後に実物が現れた。

テーブルにコトリと湯呑みが置かれる音がする。


「すごい……」


私は瞬きも忘れて見ていたが、本当に一瞬だったと思う。


手を伸ばして湯呑みを手に取ってみると、確かにさっき私が「入れた」湯呑みだった。
中に少しだけ残っていたお茶も、そのままだった。


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