みんなの冷蔵庫(仮)1
「もう諦めようと思って、他の女の子と付き合ったりもしたけど」


胸に押し当てられた右耳に、シグマの速い鼓動が聞こえる。
左耳には自分の血液が流れる音がうるさく鳴る。


「みんな違うんだ。みんな、くららちゃんみたいに怒りっぽくないし、すぐに人を叩かないし、勘違いや思い込み激しくないし」


悪口?!
この情況で、まさかの悪口を言われてる?!

でも、悪口を言われてるだけなのに……ドキドキするのは何でだろう。

シグマが私を抱く両手にさらに力を込め、深呼吸をした。


「一緒にいてもドキドキしないんだ」


私の身体の中を、小さいシグマがロケットみたいに駆け抜けた。

そんな、錯覚。


「好きなんだ」


そして耳元で囁かれる、リアル。


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