カフェには黒豹と王子様がいます
 徳永先輩の腕の力が弱くなり、すこし体を離した。

「ごめんな、西口」

「謝らなくていいです。でも、教えてください。私、謎だらけなんです。今日、どうして徳永先輩が元子さんの所に行ってしまったのか。さっきの元子さんの妹さんらしき人は何なのか……」

「そうだね……どっか、座ろうか」

 徳永先輩は私をベンチに座らせると、ペットボトルのお茶を買ってきてくれた。


 徳永先輩が横に座る。

「あの人……さっき元子さんを「お姉ちゃん」て呼んでいた、あの人は僕の二度目のお母さんだよ」

「え?お茶の先生の?」

「そう。だから、僕とマスターは一応親戚」

「そうだったんですか」

「だから、元子さんの病院に付き添ったわけ」

 そう言えば、マスター、時々「徳永くん」じゃなくて「優くん」って呼んでた。
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