カフェには黒豹と王子様がいます
「今、そんな思いを西口にぶつけてどうするんだ!西口を苦しめるだけだろ?もうこれ以上西口を苦しめたくないんだ」

 その言葉に表情が変わる豊川くん。

「西口さんを……苦しめてる……?僕が?」

「そうだよ。もう、やめろ。今、西口に必要なのは僕だ。お前じゃない」

 私は徳永先輩の腕を、キュっと握った。

 豊川くんがそれを見て、ショックを受けた顔をする。

「お前のそういうストレートさが、西口を苦しめてる。お前が今そんな顔すると、西口は「自分のせいでそんな顔させてる」って思うのがわからないのか?」

 豊川くんはパッと顔をあげて、ニコッと笑った。

「に、西口さん、ごめん。僕何も考えてなかった。徳永さんを選んだ理由、……今分かったよ。ほんとごめん」

 笑顔の豊川くんの目から涙が出る。

「あれ、ご、ごめん、なんで涙なんて……」

 それでも笑顔を崩さない。

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