カフェには黒豹と王子様がいます
 それで、もう小野田先輩に会わなくて済む。

 徳永先輩とちゃんと付き合おう。

 徳永先輩の思いにこたえられるように努力しよう。

 そうしているうちに、自然に声も出るようになるかもしれない。

「西口さん!」

 突然の声に驚いて、徳永先輩とパッと離れた。

 振り向くと、豊川くんだった。

「どうして?どうしてなんだよ、西口さん!」

 豊川くんが駆け寄ってくる。

「どうして徳永さんなの?どうして僕じゃダメなの?西口さんが本当に好きなのは……」

「やめろ!」

 怒鳴る徳永先輩。

「わかってるんだ。西口を困らせるな」

「僕だってあんたに負けないくらい西口さんが好きなんだ!好きで好きでどうにかなりそうなんだ!」

< 217 / 443 >

この作品をシェア

pagetop