カフェには黒豹と王子様がいます
「豊川くん、気持ちはわかるけど今日は帰ろう」

 マスターにそう言われ、僕たちは病院を出た。

 でも、帰れない。

 少しでもそばにいたい。

「徳永、俺もこのまま帰れねえわ」

「うん」

「待合の椅子にでも座ってるか」

「うん」

「顔色わりいぞ、横になれ」

 誰にそう言われても横になれなかったけど、小野田のいう事だけは素直に聞いた。

「……何があったのか、聞いてもいいか?」

 僕は首をふった。

 今は何も話せない。

「まだふるえてるぞ」

「うん、に……西口が……死ぬかと……思ったから」

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