カフェには黒豹と王子様がいます
 あそこのテーブル、ケーキ持って行ったし、あっちはOK,あのお客様が帰りそうだから、レジ済んだらちょっと西口の所に行ってやれるかな。

 フロアを見渡して、今だと思って裏に行った。

 まだ泣いてる。

「わるかったよ。ごめん、泣くなって」

 もう、おさえられねえ

 俺は西口の頭をグイッと引き寄せた。

 泣くなよ……。

 小さい頭。

 細い肩。

 髪の匂い。

 心臓が壊れそうなのに、離したくない。

 ずっと、こいつをこうやって抱きしめたかった。

 本当は、もっとぎゅっと抱きしめたいのに、そんなことをしたら、俺の心臓どうにかなっちまうかもしれない。

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