カフェには黒豹と王子様がいます
 外には誰もいなかった。

 多分みんな警察に行ったんだろう。

 道路には赤い血のようなものが点々と落ちていた。

 背筋が凍る。

「西口さん」

 マスターが私の肩をたたく。

「今いるお客さん帰られたら、店閉めるよ」

「……はい」

「警察に迎えに行かないとね。一緒に行く?」

「行きます」


 お客さんが帰り、マスターと二人で店を閉める。

「小野田先輩、徳永先輩のこと、全然心配してないように見えたのに」

「接客中だったからね。でも、徳永くんもちゃんと中から見える所にいただろ?きっと本当に何かあった時は小野田くんが助けてくれるってわかっていたんだよね」

「そうなんですか?」
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