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「実香子に言われたら断れねぇんだよ」

「まぁなー…」

「やっぱお前は無理かな」


小さく呟いたと同時に定食が運ばれ、俺は箸を割って小さくため息をついた。


「無理っつーかよ、俺が実香子から頼まれんのは怖いから迎え来て。しかねぇから」

「なにそれ。お前そんな事頼まれてたの?」


思わずクスクス笑う俺に蓮斗は何度か頷き、とんかつを頬張っていく。


「ユウトと別れた時ぐらいに何度かな。誰か後付けてるみたいだから来てほしいって」

「マジか、」

「まぁアイツ可愛い顔してっから変な男に引っかかんの多すぎんだよ。学生の時からモテまくってたからな。だからユウトがいっつも怒ってたけど」

「だろうなー…」

「つかよ、それアイツに行かせりゃいいじゃん」


そう言って蓮斗はクスリと笑った。


「んな事したら実香子怒んだろうが」

「お前は昔っから実香子に甘いねぇ…」

「お前もだろうがよ」


思わず苦笑いが漏れ、軽く息を吐き捨てる。

なんでだろうか。

俺も蓮斗も昔から実香子に甘い。

特にユウトと別れてから尚更。

可哀相だとかそう言うのではなく、実香子の優しい性格故に…


「彼氏役はお前の方があってっわ。実香子の頼みは行ってやれ」

「時間あっかなぁー…」

「そんなもんは作れる。でもよかったな、お前」

「は?」

「実香子が看護師だからよ、何かあったら頼めんじゃねぇかよ」

「いやいや、何も頼むことねぇから」

「お前がちゃんと病院行かねぇと俺にまで連絡くんだからよ、ちゃんと行けよな」

「はいはい。つかお前はいっつも元気だな」

「は?なにそれ」


蓮斗は何言ってんのこいつって感じで俺を見てクスクス笑いだす。
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