愛してるって言って
「そりゃあ俺だって昼間までとは違う気持ちでいるからな」


「……」


「……さて、ほんとに帰るかな」



蒼ちゃんはさっき帰ると言ったのに、あたしが引き留めてしまった。


けれど、帰ると言われるとやっぱり寂しくなってまた引き留めたいと思ってしまう。


でももう既に日付が変わっているし、蒼ちゃんは明日も仕事だから朝も早いだろうし、そういうわけにはいかないもんね。


そのままあたしの部屋を出て、玄関までの道のりを歩いていく蒼ちゃんについていく。



「蒼ちゃん」


「ん?」


「……」


「すず?」



ゆっくりと振り返った蒼ちゃんはあたしの顔を覗き込んでくる。



「夢、じゃないよね?」



あたしのこの言葉に蒼ちゃんはふっと笑う。
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