ワンコorオオカミですか!?
「狼君、わ、私、感情全て知ってるかも。や、知ってるんだ。逃げて来たけど、最近、美国部長のせいで知ったよ」


だから、

だから、ちゃんと教えて?

貴方の指で、貴方の体温で、貴方が私を呼ぶ声で、――私を形成して欲しい。
貴方が私にくれた沢山の感情で、私に色を付けて欲しい。


紺野さんみたく美人でも仕事がでいるわけでもないけれど、これからいっぱい努力するから。
狼君の横にいても恥ずかしくないぐらいの自分でいいるから。


じゃあ、壊していいですか?

狼君がもう一度聞く。

遠くで自動車のエンジン音や、自転車が通過して行く音、淡く照らしてくれる月。

全てから切り離されたような、甘い濃い雰囲気に私はもう、息の仕方も忘れてしまっていた。

息をするのも、視線を逸らす事も。

眼鏡が無くても狼君が見える位置まで近づくと、お互いの吐息が肌に掛った。

それは恥ずかしかったけど、仕方ないの。


だって近くで見た狼君の瞳は、まるで夜の輝きを全て詰め込んだように綺麗だったから。

そしてその中に、私が映っているんだもの。


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