タイムトラベラー・キス

次の日。元気に朝ごはんを食べて、いつもの通りに学校に向かう。
順調に到着し、靴をはきかえようと下駄箱を開くと、下駄箱にあるはずの上履きの姿がなかった。


あれ、持ち帰ってはいないと思うんだけど、家に忘れてきちゃったのかな。
まぁ体育館用のシューズを履けばいいか、なんて気楽に考えてそのまま教室へと向かった。


「おはようー」


私が教室に入ると、すでに来ていたクラスメイト達の目が一斉に私に集中した。
……みんなの様子を見て、何かがおかしいことに気づきはじめる。
そのうちの一人が、困惑した表情をしてこちらに近づいてくる。


「し、雫ちゃん……おはよう。あの……黒板に書いたのは、私たちじゃないよ?」


「え?黒板?」


黒板に目をやると、ひどく乱暴な文字で、私に対する中傷の言葉が書かれていた。


”都宮雫は二股女”
”身の程知らず”
”男同士の友情を壊して楽しんでいる性悪女”


……さすがの大人の私も、これには驚いてどう反応することもできなかった。
もしかして、うわばきもこれを書いた人たちに隠された?
私、いじめられてる……?


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