タイムトラベラー・キス
「誰よこれ、こんなの書いたやつ!」
理子は私より少し遅れてやってきて、黒板を見るとすぐに消しに行ってくれた。
理子の優しさと勇敢さにちょっと泣きそうになる。
それにしても、誰がこんなことをしたのだろう。
ふと、野々村くんとゲーセンで遊んでいる時にすれ違った、3年の先輩たちの顔を思い出す。
もしかして、あの人たちが……?
理子が黒板を消してくれている間に、私は自分の席にカバンを置いた。
机と椅子はちゃんとあり、特に落書きもされていない。
ほっとして、机の中に教科書等をしまおうとすると、中に手紙が入っていることに気が付いた。
無地のこげ茶色の封筒に入った、一枚の手紙。
それを読もうとしたとき、黒板を消し終った理子が私のもとにやってきた。
「理子、消してくれてどうもありがとう。嬉しかった」
「お礼なんていらないって。それより……いったい誰がこんなことを?」
「3年の先輩かもしれない。少し心当たりがあるんだ……」
理子と一緒に手紙の内容を確認する。
手紙には、”上履きと手帳を預かっている。返してほしかったら昼休みに体育館裏にこい”と書かれていた。