タイムトラベラー・キス

「誰よこれ、こんなの書いたやつ!」


理子は私より少し遅れてやってきて、黒板を見るとすぐに消しに行ってくれた。
理子の優しさと勇敢さにちょっと泣きそうになる。

それにしても、誰がこんなことをしたのだろう。
ふと、野々村くんとゲーセンで遊んでいる時にすれ違った、3年の先輩たちの顔を思い出す。
もしかして、あの人たちが……?


理子が黒板を消してくれている間に、私は自分の席にカバンを置いた。
机と椅子はちゃんとあり、特に落書きもされていない。
ほっとして、机の中に教科書等をしまおうとすると、中に手紙が入っていることに気が付いた。


無地のこげ茶色の封筒に入った、一枚の手紙。
それを読もうとしたとき、黒板を消し終った理子が私のもとにやってきた。



「理子、消してくれてどうもありがとう。嬉しかった」


「お礼なんていらないって。それより……いったい誰がこんなことを?」


「3年の先輩かもしれない。少し心当たりがあるんだ……」



理子と一緒に手紙の内容を確認する。
手紙には、”上履きと手帳を預かっている。返してほしかったら昼休みに体育館裏にこい”と書かれていた。
< 197 / 276 >

この作品をシェア

pagetop