タイムトラベラー・キス

「いえ、俺はこいつの彼氏ではありません」


きっぱりと言い切った言葉が、なぜか胸に突き刺さる。
ユカは逆に嬉しそうに笑っていた。


「あはは!なーんだ、君も遊びだったわけ?」


「いや、そうじゃないです。俺が一方的にこいつのことを好きで、一回でいいからデートしてほしいって頼み込んで、この前映画を見に行っただけです」


野々村くんは、そうはっきりと言い切った。
迷う様子も、言葉に詰まることもなく、まっすぐに先輩たちを見据えて。


「俺が、こいつが晃のことを好きと知りながら、付き合っていると知りながら、諦めることが出来なかっただけです。なので、二股という事実はありません。変な誤解をさせてしまうなら、俺はもう彼女に近づきません」


「う、うそよ。そんなの。野々村くん、都宮さんをかばっているんでしょう?」


「かばってません。こいつは純粋に晃を好きですから。……それより、こんな子供みたいなことをしている先輩こそ、晃に嫌われるんじゃないですか」
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