殺戮都市~バベル~
「あの塔には何かある。それを確かめる為に、私達は塔を攻略する。だから強い仲間を探しているんだ」


この人達は……自分の軍だとか敵の軍だとか考えていない。


自分に向かって来るやつが敵で、それ以外は敵ですらないって事か。


吹雪さんが俺と奈央さんを助けてくれたのは、死神の居場所を知っている「かもしれない」という可能性がある、南軍の人間だったからなのだろう。


「そういう事。だから、少年の知り合いに強い人がいたら教えてね。一応、PBMのIDを教えておくからさ。軍が違うから通信は出来ないけど、サーチなら出来るよ」


そう言って、俺のPBMを取り、自分のIDを登録する吹雪さん。


死神と黒井の戦いを見てから……いや、その前のオークション会場からだ。


大勢に取り囲まれても臆する事なく、流れるように次々と敵を倒した死神の戦いを見てから、胸が熱い。


強くなれば、俺もあんな戦い方が出来るのかな。


人を殺す事に、まだ抵抗はある。


だけど、強くなれば……自分の命だけじゃなく、仲間の命も守れるんだ。


逃げてばかりの俺が、初めて抱いた強い気持ち。


「お、俺も連れて行ってください!強くなりたいんです!」


この二人といる事が、強くなる近道だと思えたから、俺はその想いをぶつけた。
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