殺戮都市~バベル~
俺が選ぶ未来を、こんなやつに決められたくはない。


そうは思っていても……絶望に包まれた俺の心が身体を動かそうとしない。






「そしてもう一つは、完全なる力を手にした者の権利として、あなた一人だけが元の世界に戻る」






思いもしなかった言葉が……クイーンの口から飛び出した。


俺が……元の世界に戻れる?


キングを破壊したら得られる権利が、こいつの口から。


ここまで俺に絶望を与えておいて、その選択肢は卑怯だろ。


皆生き返らない、皆と一緒に元の世界に戻る事が出来ないなら……せめて俺だけでもと、意志が揺らいでしまう。


「ど、どうして俺だけが戻れるんだ?俺の武器がレベル100になったからか?」


「そうです。強過ぎる人間が、この世界に留まり続けるのは、次の素質を秘めた人間を殺す事になりかねません。なので元の世界に戻し、また私達は待つ事にします。もっとも……次など現れないかもしれませんが」


随分勝手な言い分だけど、わかるような気はするな。


松田が、圧倒的な力で北軍を支配して、部下を押さえ付けていたんだから。


その中に、こいつの言う「次の素材」がいなかったとも言い切れないって事か。


「そして、最後の選択肢は……」


クイーンの口から、残る一つの選択肢が提示された。
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