殺戮都市~バベル~
「え、恵梨香さんだって女の子を助けていたじゃないですか!どうして俺はダメなんですか!言ってる事が無茶苦茶だ!」


友達……とは言えないかもしれない。


だけど、いくら嫌なやつでも、死にそうなのを黙って見てられるわけがないだろ。


「わからんやつめ。助けられそうだから助けた。だが、そいつはどう足掻いたとしても助からない。だったら、これ以上苦しむ前に殺してやるのも優しさだ」


俺が不安に思っている事を、ズバッと言い切った死神に、何も反論出来ない。


今、助けたところで、この後死んだら……。


もっと酷い目に遭ったら。


「高山……この人の言う通りだ……俺にはもう……この街で生きる資格なんて……」


「違う!違う違う!!生きるのに資格なんているか!」


三笠の言葉を遮って、俺はそれを否定した。


「やれやれ……私達と一緒に塔に行きたいと行ったのは嘘か?物事を冷静に捉えて、非情にならなければならない時もあるんだ」


「それは……」


と、一度目を逸らし、再び前を向いた時には……そこには死神はいなかった。


それに気付いたと同時に、首の後ろに衝撃が加わり、目の前が激しく揺れて……俺は地面に倒れた。


「悪く思うなよ、少年」


そんな死神の声が隣から聞こえて、俺は意識を失った。
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