殺戮都市~バベル~
ピリッとした空気が、辺りに漂う。


死神は……本気で俺と戦うつもりだ。


殺気が、シールド越しでもわかる鋭い視線が、俺を貫くようだ。


「少年から掛かって来い。暴れれば、少しはスッキリするだろう」


そう言うより早く、俺は一気に詰め寄り、死神の懐に飛び込んだ。


その顔は、まだ俺がいた場所を向いていて、移動した事に気付いていないのか。


日本刀を振り抜く事に躊躇などしない。


何が正しくて、何が間違っているかを確かめるように、俺は死神の脇腹目掛けて日本刀を振るった。


タイミングは完璧。


ガードも絶対に間に合わないこの攻撃を……。








「踏み込みの勢いが死んでいるぞ」









ポンッと地面をひと蹴り、その場で真上に飛び上がり、日本刀を振り抜いた俺に、蹴りを入れたのだ。


「ぐっ!!」


前傾姿勢だったのに、仰け反ってしまうほどの衝撃が胸に走る。


そして見上げた死神が……トンファーを振り下ろそうとしている。


あまりに速いその攻撃。


武器での防御は間に合わない。


俺は、仰け反った勢いそのままに、足を上げて死神の右手に当てた。


腕を振り下ろす勢いが足に伝わり、地面に背中から叩き付けられたけど……トンファーの一撃は喰らわなくて済んだ。
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