殺戮都市~バベル~
「戦わ……ないと。納得……出来ないだろ?俺も……こいつも……」


息も絶え絶えに、奈央さんに微笑みかけた沼沢。


「だからって……本当にバカなんだから!」


「うる……せぇ」


戦わないと納得出来ない……奈央さんは戦わなくても良かったと言った。


「な、奈央さん。何が……どうなってるんですか?」


なんとなくその答えはわかるけど、詳細が良く分からない。


「その事は私が話すよ。良いよね?奈央さん」


そう言ったのは、奈央さんと一緒にいてくれた里奈さん。


「うん……」


奈央さんが小さく頷いて、里奈さんが口を開いた。


「結論から言うと、沼沢は乱暴な事はしなかったよ。それどころか、私達に優しくしてくれたしね。多分、ずっと一人で寂しかったんじゃないかな?」


仲間なんていない……。


沼沢が言ったその言葉が思い出された。


この強さだ。


きっと、そのおこぼれに与ろうと、色んな人間が寄って来たに違いない。


だけど、それは沼沢が求める「仲間」ではなかったんだろうな。


「それでね、話をするうちに仲良くなってさ、奈央さんを守るのは俺の役目だって決めたみたい。俺より弱いやつには任せられないってね」


それが……俺と戦った理由か。


沼沢自身も言っていたけど、本気でそう思っていたんだな。
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