殺戮都市~バベル~
雨が上がったのは、それから三時間後の事だった。


復活した後の気持ち悪さも消えて、立ち上がった俺は、部屋を出て屋上に向かった。


言いようのない不安……漠然とした恐怖。


いくらでも言葉で言い表せそうな感情を抱いたまま外に出る。


早く東軍に戻らなければならないのに、今すぐ戻っても勝てるはずもない。


どうすれば恵梨香さんを助ける事が出来るのか……あの二人に勝てるのかと、そればかりが俺を悩ませる。


「金は12万、ソウルは7個。プレミアムガチャは引けないとして……あれをやるしかないか」


工藤との決闘に勝って、本当に良かったと思う。


負ければ死というリスクはあったけど、勝った事で金が増えたのは大きい。


賞金首を殺したから、自分の賞金額が上がると言うわけではないみたいだし。


強くなるには……恵梨香さんが三笠に言っていた、コンビニで買えるバトルチケットで、ガチャを引くしかない。


どうして今になってその考えに辿り着いたんだろう。


デパートに行く前にそれをしていれば、もしかすると結果は変わっていたかもしれないのに。


「……なんて、考えていても仕方ないか」


俺は日本刀を取り出して、屋上の柵に向かって駆け出した。
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