殺戮都市~バベル~
「わ、わわっ!」


日本刀を抜いていない時の俺の反応なんて、こんなもんだ。


コンクリートの上に倒れて、カランカランという金属音が辺りに響いた。


「誰だっ!」


当然、中の人が駆け寄って窓を開けた。


知宏という男が俺を見下ろし、スコップに手を伸ばした俺は、知宏を見上げる。


「……ここで何をしてる?悪いが、この家を拠点にしようとしているなら他を当たってくれないか?見ての通り、俺達が使ってるからな」


騒がれると思ったけど……ステルス機能がまだ生きていて、腕の色はまだ青い。


それに、南軍で遭遇した時はほんの一瞬だったから、俺の顔を覚えていないみたいだ。


「す、すみません……他を探します」


敵である事を悟られてはいけない。


俺がこの二人を殺したと気付かれる前にと、ペコリと頭を下げて、逃げるように民家の庭から飛び出した。


今来た道を走りながら、考える事は一つ。


理沙がいない!


偶然、知宏を見付けて、拠点まで突き止めたってのに。


仲間と別れて、他のやつと一緒にいるのか?


「くそっ!結局どこにいるのかわからないのかよ!どこにいるんだ、理沙!!」


そう叫びながら、俺は走った。
< 603 / 1,451 >

この作品をシェア

pagetop