殺戮都市~バベル~
少しして、優と亜美の準備が整い、この部屋から名鳥の拠点に移る事に。


「じゃあな、お姉ちゃんと名鳥さんの言う事をしっかり聞くんだぞ?また会いに行くからさ」


今にも泣き出しそうな亜美の頭を撫でて、今度は俺が二人を見送る。


「うん……お兄ちゃん、また遊んでね。約束だよ?」


そう言い、小さな手の小指を立てる。


俺はその指に小指を絡め、亜美と約束をした。


「わ、私にも……たまにで良いから会いに来てよね」


ゴニョゴニョと、小さな声で呟いた優に顔を向けて、その頭をポンポンと軽く叩いた。


「亜美を頼むな。絶対に会いに行くからさ」


その言葉に、小さく頷いた優。


見送る方は、こんなに寂しいんだな。


この場所から、今までいた人がいなくなるというのは。


そんな思いを、亜美と優にさせていたのか。


「しめっぽいのはそこまでにしとこうか。今生の別れってわけじゃないんだしさ、今のボウズなら、会いたくなったらいつだって来れるっしょ」


あの日、ナイトに殺されそうになっていた俺とは違う。


そう言いたいのだろう。


ここにいる全員とフレンド登録を済ませて、皆を見送って……。


俺は、部屋のドアが閉じられるまで、手を振り続けた。
< 681 / 1,451 >

この作品をシェア

pagetop