彼の優しさ

「結城。」声を掛けられて振り向いた結城。

「あれ?島原先生、西原先生。こんばんは」なんで居るの?と顔に書いてある。

「俺たちは例の騒ぎで見回りの途中だ。…結城、暗くなったらなるべく外に出ない方が良いぞ。」俺が言って早く帰りなさいと言外に言うも

「これから帰りますよ。今回は偶々ケチャップが切れてそこのスーパーに買いに行っていたんです。…後、家で飼ってる猫たちのご飯もですけどね。」左肩に掛けている買い物バックはそれなりに膨らんでいた。

「…親御さんに頼めば良いだろう?」疑問に思った事を言うと

「まだ仕事中だと思いますよ。『仕事が忙しい』って言ってましたし。もう慣れっこです。」

……笑って言ってる結城に『親に頼らないのか?』と思ってしまった。

…これ以上は教師の踏み込むべき物では無い。

「そうか。じゃあ直ぐに帰るんだぞ。」

「はい。失礼します。」と結城はぺこりと頭を下げて歩いていった。
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