敏腕社長に拾われました。
「……んっ……」

それは、涙の味がするしょっぱいキス。そのキスが次第に深さを増していくと、甘さも加わりトロリと体がとろけ出す。

頬に耳に甘いキスを落とし耳朶を甘噛されると、体中にしびれが走ってビクッと跳ねた。

「あ、ごめん。なんか急に止められなくなって……」

そう言って俯いた虎之助の顔が、少し赤いのは気のせい?

確かめたくて顔を覗き込むと、虎之助はバツの悪そうな表情を見せた。その顔はやっぱり赤く染まっていて、胸がトクンと音を立てる。

可愛いかも……。

「なんだよ?」

「虎之助の顔が赤いのは、なんでかな~って思って」

思ったままを口にすると、虎之助は再度私の体を壁に押し付けた。

「あんなことがあったばかりだから、今晩は優しくしてやろうと思ってたけど、やめた。俺の言うことも聞かず勝手な行動をとった罰として、今からおまえを抱く」

「はぁ!? 何言ってるの虎之助? 抱くって……」

ただ抱きしめるだけの“抱く”じゃないよね? でもそれって、本当に罰なだけ?

虎之助の目をじっと見つめても、その答えは返ってこない。わかるのは、今の言葉が本気だってこと。

私は虎之助のことが好きで、お互いの気持ちが同じなら愛し合いたい。でも今はまだ、虎之助の気持ちがわからなくて。大好きな虎之助に罰っていうだけで抱かれるなんて、そんなのは絶対に嫌。虎之助とは、体じゃなく心で繋がりたい。なんて思うのは、私のわがまま?

悲しくなってきて俯くと、虎之助のふっと笑った声が耳に届く。その声に顔を上げると、優しく微笑む虎之助の顔。



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