敏腕社長に拾われました。
「なんて顔してるんだよ。鼻、真っ赤」
鼻をキュッと摘まれ、おもわず顔をしかめる。
「全部、虎之助のせいなんだから」
「は? 俺? マジかよ。じゃあ俺が責任取らないといけないよなぁ」
なにが『マジかよ』よ。マジもマジ、大マジ! 責任取るなんて大げさなこと言っちゃって。誰も責任とれなんて言ってないし、責任なんて言葉で片付けられたくない。
でも虎之助は何かを考えてる素振りをすると、しょうがないなとでも言いたげに柔らかい笑顔を見せた。その顔に、心を鷲掴みにされる。
「いつまでもそんな格好じゃ目の毒。先にシャワー浴びてこい。罰はその後だ」
目の毒? 虎之助にそう言われて、また胸元が露わになっていることに気づく。
「虎之助の変態!」
「変態で結構。バカよりはマシだ。リビングで待ってるから、早く出てこいよ」
虎之助はそう言うと、私のおでこにチュッと優しいキスをした。
「な、な……」
なにするの!?って言いたいのに、動揺した私は金魚みたいに口をパクパクさせるだけ。
唇へのキスもされてしまっているというのに、おでこの方がドキドキするってどんだけ?
赤くなっているであろう顔を隠すように虎之助から離れると、そのまま洗面所に駆け込む。
『綺麗に洗ってこいよー』
扉の向こう側から聞こえた虎之助の声に、心臓の鼓動は速まるばかり。
「綺麗に洗ってこいって、どういう意味よ……」
虎之助が抱くなんて言うから、体がおかしな反応を起こしてしまっている。頭では虎之助の気持ちがわからないまま抱かれたくないって思っているのに、体は虎之助を欲しいと願っていて。
「さっさとシャワー浴びてこよ」
そして出たら、虎之助の気持ちを確かめよう……。
浴室に急ぐと、今日の悪夢のような出来事を洗い流すように頭からシャワー浴びた。