敏腕社長に拾われました。
リビングに行くと、ラフな格好に着替えた虎之助がソファーに寝転んで雑誌を読んでいた。
「虎之助、シャワーは?」
「う~ん、後でいい。そんなことより、こっちにおいで」
虎之助は体を起こすと、手招きをして私を呼ぶ。
あまりにも普通に言うから、どんなことが待ち構えているのかドキドキしていた私はちょっと拍子抜け。
トコトコと歩き虎之助のところまで行くと、隣に腰を下ろす。
「ソコじゃなくて、ココ」
そう言って指さした場所は、虎之助の座っている前の両足の間。
え? だってそこは普通、彼女の特等席じゃなくって?
まだただの同居人の身としては、ハードルが高いというか恐れ多いというか。でも虎之助のことが好きな私としては、座りたいような恥ずかしいような……。
もう、どっちなのよ!
ソファーに座ったままモジモジしていると、待ちくたびれたと言わんばかりの虎之助が私の体を引き寄せ足の間にストンと座らせてしまう。
「それ、貸して」
虎之助は私が手にしていたフェイスタオルを奪うと、まだ半乾きの髪をわさわさと拭き始める。その手つきが優しくて、目を瞑ると眠ってしまいそうだ。
「洗面所のドレッサーにドライヤーあるだろ? 使えばよかったのに」
「うん……」
「何? 一秒でも早く、俺に抱かれたかったとか?」
「そ、そんなこと思ってない!」
いや、なくもないと言うか。虎之助には早く会いたかったけれど……。って私、何恥ずかしいこと思ってるのよ。