敏腕社長に拾われました。

虎之助に背中を向けていて良かった。きっと今の私の顔は、茹でダコかポストくらい赤く染まっているだろう。こんな顔を見られたら、虎之助にまた何を言われるかわからない。

膝を抱え小さく体を丸めると、虎之助はその体を後ろからギュッと抱きしめた。

「あれ? 智乃の体、熱くない? 熱でもあるんじゃないの?」

「ね、熱なんかないし……って、うわっ!!」

熱くもないって言おうと思った途端クルッと反転させられ、持ち上げられた体は虎之助の膝の上に乗せらてしまう。
目の前には、意味ありげに微笑む虎之助の顔。

「な、何よ?」

負けじと威嚇するような態度をしてみせるけれど、虎之助には効果がないみたいで。体をグッと寄せられると、おでことおでこをくっつけられる。

顔が近すぎて、息できないんですけど……。

「おっかしいなぁ。熱はないみたいなのに、智乃の顔は相変わらず真っ赤なんだよなぁ」

虎之助はおでこをくっつけたまま、クスッと笑る。

これ、わかってやってるよね? また私、からかわれてる?

ツンと唇を尖らし頬を膨らまして怒ってみせると、その唇に虎之助の唇が重ねられた。

「ん……っ」

不意打ちの行為に、虎之助の胸を押しのける。

「なんで離れるの? 唇とんがらして、キス、してほしかったんでしょ?」

「キスして欲しくて、とんがらせたわけじゃない。虎之助がからかうから怒って……」

とんがらせたっていうの? ホントに?

自分で自分に問うと、意外と答えは簡単に出てきてしまう。



< 144 / 248 >

この作品をシェア

pagetop