敏腕社長に拾われました。

「バカな子ほど可愛いとはよく言うけれど、ここまでバカな子には会ったことがないわ」

「そんな、何度もバカバカ言わないでください」

泣き顔を見られるのは恥ずかしくて顔を横に向けると、ズズッと鼻水をすする。

「さあ、泣いてる暇はないわよ。でももう今日は遅いから、明日の朝一で女社長のところまで行ってらっしゃい」

「あ、明日ですか?」

「そうよ、一日でも早くケリつけないと。彼女のバックには永田さんもいるし、ぼやぼやしてる暇ないわよ」

「は、はい……」

さっきまでは虎之助の前から消えようとしていたわけで、心の準備ができていない私は宮口さんの勢いに押されっぱなし。明日行きなさいと言われてもどうしていいのかわからない私を差し置いて、今日泊まるホテルや明日の電車の時間やチケットの手配をテキパキとやってしまう。

さすがはベテラン秘書。

そんな宮口さんの姿に、小泉さんも苦笑気味。でも宮口さんのことを見つめる目はやっぱり優しくて、その姿を見ているととてつもなく虎之助に会いたくなってきてしまった。

「あら? 早瀬さん、顔を赤くしてどうしたの?」

「え? あ、あかいですか?」

いけないいけない。虎之助のことを考えるだけで顔が赤くなるなんて……。



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