敏腕社長に拾われました。
詩織さん、ズルいよ。こんなか弱い乙女ひとりに、二人がかりで来るなんて。
でも今日の私は、いつもの私と違うんだから! 勝ち目がない勝負にも、最初から諦めるわけにはいかないのよ!!
シンと静まり返る部屋の中に、私の荒い息づかいだけが聞こえる。
もう恥ずかしいなんて言ってられない。正面からは睨んだりできない小心者の私は、詩織さんを横目で睨みつけた。
とその時、ドアがコンコンと音を立てた。
「社長、お着きになられました」
「そう。入っていただいて」
詩織さんはそう言うと、私を見ておどけたように笑った。
やっときたか、永田さん。詩織さんも、彼が来たからといって勝ったつもりでいたら、後で痛い目を見るんだから。
強敵を待ち構えるように大きく息を吸うと、ドアをジッと見つめる。
「失礼します」
声と同時にドアが開くと、そこに立っていたのは……。
「と、虎之助!? な、なんで虎之助がここにいるの?」
あ、あ、ありえない。っていうか意味が分からない。虎之助の怖い顔に、頭の中は真っ白け。パニック状態で、それ以上言葉も出ない。
首をブルブル横に振りお化けでも見たかのように立ち上がると、隠れる場所を探して後ずさる。でも食事をするだけの狭い個室、隠れるところなんてあるはずもなくて。仕方なくカーテンに身を隠す。