敏腕社長に拾われました。

「自分で言うのもなんだけど、ここのコース料理とても美味しいの。朝食は食べていらした?」

「はい、軽く」

「軽くなら、もうご用意してもいいかしら?」

お金が心配なので結構です!とは言えないし、ここは黙ってコクンと頷く。

すると既に呼んであったのかグッドタイミングでひとりの男性がドアから入ってきて、詩織さんと一言二言言葉をかわすと私に向ってお辞儀をして部屋から出て行った。

「智乃さん、ワインはお飲みになる?」

これには四の五の言わずに「はい!」と即答すると、「やっぱり面白い」とまた詩織さんに笑われてしまった。

「でも飲むのは、もう一人到着してからにしましょう」

詩織さんの意味深な言い方に、違和感を覚える。

もう一人? それって誰? 詩織さんと私に関係ある人?

ない頭を悩まして、う~んと考えていると……。

「あっ!」

永田さん!? いや、きっとそうに違いない。そしてふたりがかりで私のことをねじ伏せるつもりだ。

そんなの勝ち目ないじゃない。あの永田さんだよ。私が何を言っても太刀打ち出来ない、まさに“鉄の男”だよ?
詩織さんだってそう。優しそうな仮面の下には、鋭い目を持っている。伊達に女社長をしているわけじゃない。



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