3つの視線、1つの物語

「はい、どーぞ。姫様」


ノアが桃を渡してくれた


「いい匂い…」


完熟の匂い
後でお部屋で食べよう

今は…ノアに言わなきゃいけない事がある


「…あの、ノア?」

「何ですか?」


言わなきゃいけない事…って言うよりは
お願いしたい事…がある


「今日…お父様は他国に出張なの」

「えぇ、知ってますよ?」


不思議そうに私を見るノア
でも、ノアは知らない

お父様が出張中のこの時が、一番怖い時だって事を…

あの数々のお見合いだって、お父様が出張時に行われた

これは私の勘だけど…今回もコンフィーヌが何かをしてくる気がする

だから、ノアにお願いをしたい
お父様出張中、一時も離れないで欲しいって



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