ハッピーアワーは恋する時間
「サインして」
「はあ?おまえ・・・俺たち今日、籍入れたばっかだぞ?」
「だから何よ。あなたには他に、結婚すべき人がいるでしょ。しかも赤ちゃんまで生まれるんだから。私はあなたとは結婚できない」
「ででで、でもっ!俺だってさっき分かったことで・・・あいつとは7か月前に別れた・・・」
「ということは、私とつき合っていた時期に、あの女ともつき合っていた、ということよね」
「未散・・頼むよ」
「私も頼むから。離婚して」
「だけどっ!俺らほんの数時間前に入籍したばっかで、もう離婚とか!ありえねえ・・」
「じゃあ、役所の人には“新婦の名前、間違えました”とでも言いましょうか」
「みちるぅ」

悲痛な声で言いながら、私の方へ手を伸ばした博文さんに、彼を「監視」していた靖叔父さんが、「それ以上、俺の姪に近寄るな」と間に入ってくれた。

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