この恋心に嘘をつく

「あ、ありがとうございました――?」


お客さんが店を出ていく。

その後ろ姿に、優理子が怪訝な視線を向けていた。


「どうしたの?」

「いや。……あのお客さん、商品持ったまま出ていきませんでしてか?」

「――は?」


それって、いわゆる万引きというやつでは?


考えるよりも先に、体が動いていた。



「あ、安生さん!」

「店長に電話しといて!」


いつぶりかの全力疾走で、凛子はコンビニを飛び出した。



*****



息を乱しながら、万引き犯の姿を探す。

もう22時近いが、駅前という立地条件の良さから外は人通りが多い。


(確か、黒いパーカー着てた)


周囲を見渡しながら、目的の人影を探す。

通りすぎる人達が、凛子を見ては不思議そうな顔をしていた。

< 13 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop