この恋心に嘘をつく
「あ、ありがとうございました――?」
お客さんが店を出ていく。
その後ろ姿に、優理子が怪訝な視線を向けていた。
「どうしたの?」
「いや。……あのお客さん、商品持ったまま出ていきませんでしてか?」
「――は?」
それって、いわゆる万引きというやつでは?
考えるよりも先に、体が動いていた。
「あ、安生さん!」
「店長に電話しといて!」
いつぶりかの全力疾走で、凛子はコンビニを飛び出した。
*****
息を乱しながら、万引き犯の姿を探す。
もう22時近いが、駅前という立地条件の良さから外は人通りが多い。
(確か、黒いパーカー着てた)
周囲を見渡しながら、目的の人影を探す。
通りすぎる人達が、凛子を見ては不思議そうな顔をしていた。