この恋心に嘘をつく
え、結局持って帰るの?
「使えねぇ女だな!」
バシッ――。
水を打ったように静まり返る店内。
去り際の捨て台詞と共に投げつけられたタバコは、見事に顔に命中した。
「痛……」
ありえない。
普通、人に向かって投げる?
今すぐ追いかけて、投げ返したくなる。
沸き上がる怒りに、我を失いそう。
「――あの、大丈夫ですか?」
「え? あ、はい。大丈夫です」
視線という視線が、自分に集まっていることに気づく。
「……コホン、申し訳ございません、お待たせいたしました」
咳払いをひとつ。
気持ちを入れ換えて、商品を手に取る。
「ありがとうございます、98円になります。シールでもよろしいでしょうか?」