いつだって僕らは
心地よい風が吹いて、空を見上げると雲が流れていて、時が流れていることを感じさせる。
藤谷は夢の内容をなかなか答えなかった。

「秘密なの?」

「んーとねぇ・・・・・・」

馬鹿な藤谷のことだから、きっとさっき見た夢などもう忘れているんだ。
あたしは、もうおなかいっぱいでいらないと思ったおにぎりを藤谷に投げた。投げるといってもすぐ隣にいるんだから投げると言わないかもしれないけど。

「柚維が、奪われたんだよね」

あたしのおにぎりを受け取った藤谷は、あたしの顔を見ずに言った。

「あたしが?何それ」

笑ってみせると、藤谷も笑って少し安心した。いつもは人の顔をちゃんと見て話す藤谷だったから、少し不安になっていたのだ。


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