自己中(元)彼の取扱書
違う。違う。違う。


きっと、人違いだ。


そう願いながら、ゆっくりと視線を向ける。


彼もこちらを見ていて、視線が交わる。


嘘、でしょ?


彼は2年前より背が伸び、男らしくなっていた。


優馬のように制服を着崩して、自分なりのアレンジをしている。


変わった。と言えば、変わった彼。


だけど、彼だと認識は出来る。


ここで、あたしはどんな対応をすれば良い?


そして、彼はどんな態度を取るの?


変な緊張感の中、あたしは彼の行動を伺った。


彼も始めは驚いているようで、切れ長の
目を丸々と見開いていた。


だけど、すぐに平然を装い、にやりと笑みを浮かべた。

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