サンドリヨンに憧れて
すると玄関の扉の向こうで聞いたことのある着信音が聞こえた。

何も考えずバスタオルを巻いたまま思いっきり力を入れて扉を開けると

驚いた表情の彼が開いたドアを少しよけるように立っていた。

「孝男さん・・」

「おま・・え・・その恰好・・」

驚きながら中に入り私を両手で包んでくれた。

「こら、そんな恰好で出てきたら・・・俺じゃなかったらどないすんねん!」

「ごめん・・・でも・・着信音が・・」

「こんなん同じものだってあるやろ・・」

こわくて震える体をさらにギュッと抱きしめてくれた。

「孝男さん・・立川が・・さっき・・」

「知ってる・・俺がマンションの玄関を出た時見つけた」

「え・・」

「香澄を送ってきた時なんか嫌な予感がしてた。あいつ隠れてたつもりやったけど
俺はあいつってわかってた。だから香澄を送った後、あいつと下で話をしたんや」

「で・・なんて?」

「男同志の話や・・香澄は心配せんでええ・・」

「・・でも・・」

「心配せんでも・・もう香澄には近寄ってもこうへんから・・」

「明日・・仕事やのに・・」

「大丈夫や・・」

最後に言った言葉はいつものやさしい声に戻っていた。

「それより・・この格好・・なんとかせんと・・」

バスタオル一枚の私の腰をやさしく撫でながら耳元で囁いた。



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